コラム

育てる菓子、シュトーレン

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熟成させるケーキがあるのを、知ったのは、
大人になってからのこと。
結婚したばかりの友人宅を、訪ねたときのことでした。

「ちょうどよかった! 今日が食べごろなの」
そういって、きれいな缶のなかから、
大事そうに包まれたケーキを取り出し、
夫婦でうれしそうに眺めていたのを、思い出します。

結婚式の日に、ブランデーの小瓶とともにもらい、
「3日に1回、これをケーキにふりかけて、育ててね」
といわれたのだとか。
その大切なケーキを、私も一緒にいただいたのでした。

1か月以上も置いたケーキを食べるのは、初めてのこと。
こわごわ口にしたので、じつは味をよく覚えていません。
でも、ふたりが「おいしい!」と言って、笑顔を輝かせていたのが、
とても印象深く、昨日のことのように思い出されます。

日本では、クリスマス・ケーキといえば、
生クリームやフレッシュ・フルーツをたっぷり使った、
新鮮な生ケーキが主流です。

ところがヨーロッパでは、ドライフルーツやナッツを入れた、
保存食のようなケーキを、1か月くらい前につくり、
クリスマスまで寝かせて、熟成させるのが、伝統なのだとか。

イギリスのクリスマス・プディングや、ドイツのシュトーレンが、そう。
真っ白な粉砂糖をふった、パンのようなシュトーレンは、
日本でも最近、パン屋さんやケーキ屋さんで、よく見かけますね。

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初めてシュトーレンを食べた時は、その甘さにびっくりしたものです。
でも、薄くスライスして、少しずつ食べると、
熟成した生地とドライフルーツの味や香りが、口のなかでひろがり、
その余韻の深さに、忘れられないお菓子になりました。

時間をかけて、ゆっくりと味わう、
大人向けのケーキといえるかもしれません。

熟成させるというのは、時をかけて育てるということ。
よく知られているように、チーズやワインは、
"エイジング"によって、深い味わいが生まれます。

そしてそれは、住まいである家にもいえるのではないでしょうか。
時間をかけて、大切に使っていくことで、
家は、家族にとってかけがえのないものとなります。
やがてそこに、落ち着いた輝きが、生まれてくるように思うのです。

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