COLUMN

桃の里から

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みずみずしい果汁と、甘い香りがたっぷりの桃。
色も形も可愛くて、眺めていると笑顔になります。
梅雨も半ばになり、今年もまた、桃の季節がやってきました。

香川県は四国一の桃の産地。
近所の桃畑でも収穫が始まり、産直市や選果場は、
桃を積んだトラックや、桃を買うお客さんたちで大賑わいです。

子どもの頃は、身近な果物だと思っていた桃が、
じつは高級品だと知ったのは、県外に出てから。
水分が多くて甘い果実は、傷みやすく、日持ちしないので、
産地から遠く離れると、貴重な高級フルーツになるのです。

桃のおいしさを味わうなら、やっぱり生でそのまま食べるのがいちばん。
熟してやわらかくなり、皮をむくそばから、
果汁がぽたぽた落ちるようなジューシーな桃は、甘さもたっぷりです。


品種の違いなのか、収穫時期のせいなのかは、わかりませんが、
身がかたくしまっていて、シャキッとした甘さの桃もあり、
さわやかで歯ごたえのあるところが、新鮮でおいしく感じます。

大人になってから、果肉の色が、品種によって異なるのを知りました。
真っ白な果肉は「白鳳」系、ピンク色の果肉は「あかつき」。
ゼリーやシャーベットにすると、果肉の色の違いも楽しめます。

今年は、出始めの頃、黄色っぽい果肉の桃も発見。
数の少ない品種に出会えるのも、産地のそばにいればこそですね。

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桃の産地にいてうれしいのは、春になると、
あたり一面が、ピンクの桃の花で染まることです。
田んぼのそばでも、小高い丘の上でも、桃の花が咲いて、
"桃源郷"という言葉を思い出します。

中国の詩人、陶淵明がつくった物語では、
"桃源郷"は、桃林の奥にある村里で、
戦乱を避けた人々の子孫が、俗世間を離れて、
平和を楽しみながら、暮らしていたといいます。

誰もその場所を知らず、行こうとしても行けないけれど、
運よく、そこに巡り合える人がいるのだとか。

桃源郷は、理想郷とか仙人が住む場所などといわれますが、
人々がこうありたいと願う、心穏やかな暮らしが、
きっとそこでは、営まれているのでしょう。

中国では、桃は特別な果物とされてきたそうです。
そういえば日本でも、古事記のなかで、
桃は大きな役割を果たしていますね。

古代の桃は、おいしいものではなかったようですが、
突然変異や品種改良を経た、現代の桃は、
甘くて、たっぷりの果汁があり、果肉はとろけるようです。

梅雨から夏にかけての、一時期だけ味わえる桃。
そのおいしさを、ぜひ味わってください。


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