野分(台風)
古語に、野分(のわき)という言葉があります。
野の草を吹き分ける激しい風、という意味で、
秋に吹く暴風を、そう呼んだとか。
いまでいえば、台風のことですね。
野の草を吹き分ける、といっても、
なかなか、様子を想像できませんが、
自然と結びついた言葉には、ゆかしさを感じます。
源氏物語にも、「野分」という名の帖があって、
台風の日に、人々が家のなかで、
屏風をたたんだり、御簾を押さえたりと、
あわただしくしている様子が、描かれています。
訪ねてきた人が、どこそこでは木の枝がたくさん折れ、
瓦がすべて吹き飛んだらしいと、伝える場面も。
いまと違って、気象衛星もない時代ですが、
毎年、秋になると、恐ろしい暴風雨が来ることは、
経験から、わかっていたのでしょう。
その現象を、野分と名付けたところに、
昔の人の、自然との近さを感じます。
それにしても、雨や風の日に思うのは、
家というものの、ありがたみです。
一晩中、雨が降り、風の吹きつけるときでも、
あたたかなベッドで、ぐっすりと眠れるのは、
やはり、幸せなこと。
ときには、激しい雨風の音に驚き、
恐ろしく感じることもありますが、
家のなかにいると、守られている、
という安心感がありますね。
まだしばらくは、台風が心配な季節。
平安時代とは異なり、何日も前から、
台風の進路が、予測できるようになりました。
不要不急の外出を避けるためにも、
水や食料を備え、家の周りを片付けて、
あたたかな家のなかで、静かに
台風が過ぎるのを、待ちたいものです。
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