COLUMN

春を告げる花


2002サクラソウ.jpg

春の訪れを知るのは、何によってでしょうか。
人それぞれ、異なると思いますが、
私にとっては、早咲きの花々がそうです。

ふくらんだ木々の芽や、あたたかな風も、
春が近いことを教えてくれます。
けれど、ぱっと開いた花を見ると、
その力強さに、"春が来た!"と実感するのです。

毎年、いちばんに咲くのは、
エキゾチックな香りの沈丁花。
つづいて、サクランボの花が開きます。

地面では、ニオイスミレが、
まだ寒いうちから、濃い紫の花を咲かせますが、
ここ数年のお気に入りは、サクラソウ。

こぼれダネから生えた小苗を、
庭のあちこちに、植えていたら、
どんどん増えて、初春から咲くようになりました。

ピンクや白の小さな小花を、輪状につけ、
つぎつぎと咲きながら、大きくなっていきます。
若草色のやわらかな葉も、やさしい印象。

太陽の光を、いっぱいに浴びて、
花を咲かせる様子には、
春の喜びが、満ちあふれているかのようです。

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春を告げる花のことを、植物の世界では、
スプリング・エフェメラルと、呼ぶそうです。

落葉樹林の地面で、太陽の光が降り注ぐ初春に、
花を咲かせる、カタクリやキクザキイチゲ。
夏には、日陰になるので、もう花は咲きません。
葉っぱを茂らせて枯れ、来春を待ちます。

ほんのいっときしか、花を咲かせないので、
「はかないもの」という名前が、ついたのでしょう。

庭の花でも、アネモネやヒヤシンスなどの球根花は、
花が咲いている期間も、葉っぱが茂る期間も、
とても短くて、はかない感じがしますね。

それにくらべると、サクラソウは、
ずいぶんと長い期間、花を咲かせます。
かれんな花姿ですが、意外と強いのかもしれません。

こぼれダネで増えたサクラソウは、
いつのまにか、交雑が進んで、
ピンクと白だけでなく、うす紫や、濃いピンクの花も、
ちらほら、見かけるようになりました。

庭いっぱいに、花が咲く頃には、
公園のソメイヨシノも、雑木林の山桜も、満開に。
深山の渓流沿いでは、キクザキイチゲが、
淡い紫の花を、そっと咲かせていることでしょう。


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