コラム

サクラ細工

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今年も、あちこちの山でヤマザクラが咲き、
淡いピンク色で、山肌を彩ってくれました。
世界的な感染症で、だれもが不安な日々を送るなか、
季節は変わらずに巡り、花を咲かせてくれますね。

みんなで集まる、賑やかなお花見はできなくても、
街路樹や公園、雑木の山で咲いたサクラを見て、
ほっとしている人も、多いのではないでしょうか。

サクラは、花を眺めるだけでなく、
塩漬けにした香りのよい花や葉を、
お茶にしたり、和菓子に使ったりします。

特有の甘い香りは、日本に暮らす人なら、
"さくら餅の香り"として、
印象深く、心に刻まれているかもしれません。

花も葉も利用でき、香りもよいなんて、
すばらしいと思いますが、
もうひとつ、サクラにはよさがあります。

それは、樹皮の美しさ。
サクラの木の皮には、金属のような光沢があり、
細工物に用いられているのです。

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とくに美しいのは、ヤマザクラの樹皮。
暗赤色に、ところどころ細かな模様が入り、
この樹皮を使った細工物は、
「樺細工」と呼ばれる、民芸品にもなっています。

わが家にも、小さな茶筒がありますが、
ふだん使いのお茶も、この茶筒に入れておくと、
一杯一杯を、大切に淹れようという気になります。

自然の樹皮の、やさしい手触り。
ひかえめな光沢や、落ち着いた色合い。
使い心地がいいのは、もちろんですが、
何よりサクラであることを、うれしく思うのです。

天然の広葉樹が豊富だった、かつての日本では、
さまざまな種類の木を、暮らしに用いてきました。
樹皮の美しい木は、皮つきのまま、
床柱に使う例も、茶室などに見られます。

はかなく散る花と違い、
サクラの樹皮は長く光沢を保ち、
色褪せもほとんどありません。
それが、家や日用品に重宝された理由なのでしょう。

お茶を淹れようとして、ふと茶筒の樹皮に
目がとまるときがあります。
そんなときは、満開のサクラやヤマザクラの様子が、
いつの季節であっても、ありありと思い出されるのです。


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