COLUMN

秋の七草

2009クズの花1.jpg

ミーンミーン、ジージージーと、賑やかなセミの声。
そこに、ツクツクボウシの鳴き声が目立つようになると、
そろそろ秋がやってくるなあと、思います。

秋といえば、秋の七草がありますね。
その由来は、奈良時代の歌人、
山上憶良の歌からといわれています。

秋の野に 咲きたる花を 指(および)折り
かき数ふれば 七種(ななくさ)の花

萩(はぎ)の花 尾花(おばな) 葛花(くずばな) 撫子(なでしこ)の花
女郎花(おみなえし) また藤袴(ふじばかま) 朝貌(あさがお)の花

「秋の野で、咲いている花を数えてみたら、
7種だったよ」と歌い、
それは、ハギ、ススキ、クズ、ナデシコ、オミナエシ、
フジバカマ、アサガオ(キキョウ)だというのです。

奈良時代というと、千年以上も昔ですが、
今も身近な植物が、たくさん出てきます。

まだ暑い盛りですが、近所のため池へ、
花を探しに、散歩に出かけてみました。

遊歩道に入ると、雑木林の下から、
アーチ状の枝が、いくつも飛び出しています。
もしかして...と思いながら見ると、やはり萩(ハギ)。

花はまだ咲いていませんが、蕾らしい小さな芽が、
しだれた枝先に、いくつもついています。

2009池.jpg

ため池に出ると、水際にはジュズダマが。
子どものころは、ツヤツヤの実を集めては、
芯を抜いて糸を通し、ネックレスをつくったものです。

さらに歩くと、田んぼを見下ろす斜面に、
お目当ての、クズが生い茂っていました。
けれど、残念ながら、花は見当たりません。

あきらめて、太陽の光を浴びて輝く、
稲穂を眺めながら、歩き進みます。

池の縁を歩くと、人の気配に驚いたカメが、
ドボン、ドボン、と水中に飛び込みます。

バサバサバサ...と、羽音がするほうを見ると、
大きなアオサギが、反対側の岸へと飛んでいきました。

残暑の厳しいなか、人は歩いていませんが、
生き物たちは、いつもと変わらない営みを、続けています。

と、目の前に現れたのは、
木を覆うばかりに、つるを伸ばしたクズの茂み。
目を凝らすと、葉の奥に、紫色の花が。

近寄ってみると、むっとするような甘い香りがします。
秋の七草というと、可憐なイメージがありますが、
クズの花は、力強く、野性的な感じがしますね。

明るく開けた堤の上では、ヒナギキョウが、
小さな紫の花を揺らしていました。

手をかけて育てる、庭の花もいいですが、
自然のなかで、ひっそりと、力強く咲く、
野の花には、植物の生命力を感じます。

もう何週間も、雨が降っていないというのに、
しおれることなく、葉を茂らせ、
花を咲かせる草たちは、なんと強いのでしょう。

見渡せば、あちらこちらで、
ハゼの葉っぱが、赤く色づき始めていました。
植物たちはもう、秋の準備を始めているようです。


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