COLUMN

ブルーベリーと絵本

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晴れの日が恋しくなる、梅雨のころ、
庭のブルーベリーの実が、
少しずつ色づき始めます。

雨の晴れ間に、紫色に熟した実を見つけたら、
一粒ずつ、落とさないように摘み、
ステンレスのボウルに放り込むと...コロン!
とても気持ちのいい音がします。

コロン、カラン、コロン!
ブルーベリーの収穫に、カゴや袋でなく、
金属製のボウルを使うようになったのは、
一冊の本がきっかけでした。

アラスカの雄大な自然と、そこに暮らす生き物を、
やさしいまなざしで見つめ、
数々の美しい写真を残した、星野道夫さん。

彼のエッセイ『旅をする木』のなかに、
ブルーベリー摘みに出かけた親子と、
クマの親子が入れ違ってしまう絵本、
『サリーのこけももつみ』が出てくるのです。

作者は、アメリカのロバート・マックロスキー。
原作は1948年の出版です。
お話は、ある日、親子がブリキのバケツを持って、
山にブルーベリー摘みに出かけるところから始まります。

小さな女の子、サリーが、小さなブリキのバケツに
摘んだブルーベリーを放り込むと、
kuplink,kuplunk,kuplunk!
と音がします。

この擬音語の繰り返しが面白くて、
実際は、いったいどんな音がするのだろうと、
ある年、ブルーベリーが実るのを待って、
ステンレスのボウルに放り込んでみたのでした。

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すると...コロン! カラン!
ベリー類は、やわらかいと思っていたのに、硬くて高い音。
まさに、kuplink,kuplunk,kuplunk! というような音です。

絵本の日本語訳は、石井桃子さん。
彼女の訳は、「ポリン、ポロン、ポルン」と、とっても楽しそう。

絵本の題が、「こけもも」になっているのは、
翻訳本が出版された1970年代当時、日本では、
ブルーベリーという名前が、知られていなかったからでしょう。

北米原産で、涼しい気候が好きなブルーベリー。
品種改良が進み、いまでは暖かな香川でも育ちます。

サリーが摘んだ、野生のブルーベリーとは違いますが、
カラン、コロン!とボウルに放り込んでいると、
遠い国の、遠い時代の人々も、
こんな風に、ブルーベリーを摘み、
つまみ食いをしたり、ジャムを作ったりして、
楽しく過ごしたんだなあと思います。

今日の収穫は、ほんの20粒程度。
そのまま、ヨーグルトに入れて食べましょうか、
それともジャムづくり用に、
冷凍して、ストックしておきましょうか...。


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