COLUMN

庭の宝石

2112マンリョウ4WEB (002).jpg

冬の寒い日、庭に出て植物を眺めていると、
パッと目を引くのが、植物の赤い実です。
色彩にとぼしい冬の庭で、赤い実はまるで庭の宝石。
キラキラとそこだけが、輝きを放っているようです。

すらりと伸びた枝先に、赤い実をつけているのは、
お正月の生け花にも使われるナンテン。
絵画やテキスタイルのモチーフにも、よく用いられますね。

やわらかに広がる葉もとても優美で、
わが家では、おせち料理の上に飾るのが定番。
取り分け皿にも葉を敷き、お正月らしさを演出します。

背丈の低いヤブコウジも、赤い実をつける古典植物。
これまで、なかなか実がならなかったのですが、
鉢植えにして夏は日陰に置き、こまめに世話をするようにしたら、
たくさん花が咲き、赤い実をつけてくれました。

子どもの頃、お正月の寄せ植えに、ツルや灯籠の置物と並んで、
ヤブコウジやフクジュソウが入っていたのを思い出します。
白砂を川や海に見立てるのは、子どもにも楽しい遊びでした。

2112マンリョウ5WEB (002).jpg

どこの庭にも、育てやすい植物、育ちにくい植物があると思いますが、
赤い実をつける植物で、わが家に合っているらしいのがマンリョウ。
鳥がこぼれ種を落としていくのか、
庭のあちこちで種が発芽し、いつの間にか育っています。

マンリョウは、幹の上のほうに葉がこんもりと茂ります。
そしてその暗緑色のつややかな葉の下に、
ルビーのように真っ赤な実をぶらさげるのです。

10年以上も前、遠方から訪ねてきた友人が、庭を見て、
「あの木、変わってるね。面白い!」
としきりに感心していたのが、マンリョウでした。

もとは父が好きで植えたもので、これも古典植物。
子どもの頃から見ている私にとっては、ありふれすぎていて、
そんなに驚くなんて...と不思議に思いました。

"隣の芝生は青い"といいますが、当時の私は、
自分の庭では育たない植物に憧れて、
足元にあるもののよさに、気がついていなかったのです。

とくに剪定も必要なく、手のかからないマンリョウは、
ふだんはあまり気に留めることがありませんが、
冬の庭で赤い実をきらめかせているのを見ると、
しみじみと、美しいなあと思います。

冷たい風が吹く日は、部屋の中から「庭の宝石」を探しましょうか。
実をついばみにきた、野鳥も見つかるかもしれませんね。

...新しい年になりました。
どうぞみなさまにとって、よい一年でありますように。


......soraiでは、お客様の"暮らしに寄り添う家"をご提案しています。
あたたかみのある木や自然素材を中心に、ご希望に合わせた仕様と設計が可能です。
どうぞ、お気軽にご相談ください。