COLUMN

石畳の玄関アプローチ

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桜の花が咲き、山では木々が芽吹いて、一面の春景色になりました。
この季節は、風景がドラマチックに変化するので、
外に出るのが楽しみになりますね。

春の雨はやわらかく、やさしく感じられます。
雨上がりのある日、玄関前のアプローチに泥がついていたので、
水をかけて、ブラシで洗っていました。

ほんの2mほどの短いアプローチですが、
若い頃、左官職人をしていた父が、自然石を貼った石畳です。
見慣れて、ふだんは気にも留めないのですが、
水に濡れると、色が濃くなってきれいに見えます。

40年以上たっても、古びて見えないのは、
石という素材のおかげでしょうか。
年月が経つとともにエッジがとれ、暗い色になって、
落ち着いた雰囲気を醸し出すようになりました。

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木の家に使われる無垢の木材もそうですが、
自然素材には、時間とともに味わいを増していく、
エイジングの楽しみがあります。

石も、風雨にさらされながら時がたつと、変化します。
置いたばかりの頃は、よそよそしい感じだったのが、
いつのまにか、角が少し丸みを帯び、色も変わってきて、
そのうち周囲と調和した雰囲気になるのです。

種類や置き場所によっては、表面に苔や地衣類がつくことも。
灰緑色をした地衣類が、木や石についているのを見ると、
そこに積み重ねられた年月を思い、風格を感じますね。

かつて石は、家の外回りに欠かせない素材でした。
石塀や石垣、石畳、庭石...。
近くにあるものを使ったのが、そもそもの始まりだと思いますが、
堅牢なので、いろんな場所に使われてきました。

重くて運ぶのが大変なせいか、最近ではあまり用いられないようですが、
せっかくの石の文化、ちょっともったいない気もしますね...。

もしも庭に、石がいくつかゴロゴロ転がっていたら、
邪魔者扱いしないで、花壇の縁取りに使ってみてはどうでしょう。
平べったくて滑りにくい石なら、敷石にできるかもしれません。

大きな石があって困っているなら、庭石に。
置き方や向きを考えていると、さながら庭師になった気分です。

苦労して配置した石を、長い年月ののちに眺めたとき、
いったい何を思うでしょうか。
そのとき、その石は、どんな色でどんな雰囲気になっているでしょう。

家と同じように庭の石も、あなたと一緒に時を刻む、ひかえめな伴走者。
そう思って眺めると、どこか親しみが湧いてきます。


......soraiでは、お客様の"暮らしに寄り添う家"をご提案しています。
あたたかみのある木や自然素材を中心に、ご希望に合わせた仕様と設計が可能です。
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