おだんご山の春
平野のなかに、おだんごやおむすびのような山が
ぽこり、ぽこりとある香川の風景。
春になると、その山がいっせいにパステルカラーに染まります。
雑木の山には、いろんな種類のヤマザクラがあって、
淡いピンクや白の花を咲かせ、真紅の葉とともに山を彩ります。
その間で、いろんな落葉樹が芽を吹いて、
淡い黄色やパステルグリーンの小さな葉をきらめかせるのです。
ところどころにある、常緑樹の濃い緑は、
ちょうどよいコントラスト。
パステルカラーの花や新芽を、ひきたてます。
春の光を浴びて輝く、色とりどりの雑木の山を見ていると、
自然界は、こんなに美しい色であふれているのかと、
毎年のことながら、感動せずにはいられません。
40~50年ほど前までは、香川の山には、
アカマツなどの松の木が多く生えていたといいます。
マツクイムシの被害で、枯れてしまい、
そのあとに増えてきたのが、ヤマザクラなどの雑木でした。
散歩をしていると、畑仕事をしていたおじいさんが、
「昔はこのあたりでも、背負子に入りきらんくらい
マツタケが採れよったんやけどなあ」
と話をしてくれたことがあります。
ちょっと薄暗い、アカマツの森のなかに分け入って、
さわやかな香りの松葉を踏みしめながら、
マツタケを探すのは、どんな気分なのでしょうね。
ほんの一世代で、山の植生が変わったのを知ると、
自然の遷移の早さに驚きます。
そのいっぽうで、目の前のおだんご山が生まれるには、
大地が隆起し、浸食され、堆積し...という、
気の遠くなるような年月が、かかっているのです。
今年もまた、おだんご山に春がやってきました。
花や新芽の淡い色が、たくさん散りばめられた
可愛らしい山々を眺めていると、
いまこの瞬間が、とても大切なものに思えてきます。
年に一度の、ドラマチックな春の変化。
休日の散歩中はもちろん、通勤の途中にでも、
ぜひ、近くの山を眺めてみてくださいね。
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